「夏」は立夏から立秋の前日までの約3ヶ月間。気象学では夏至から秋分まで。春夏秋冬の四季の中で最も暑く日差しが強い。
掲句は、戦災地パレスチナのガザの夏を詠んだ作品。ガザ地区は周知のように、中東のパレスチナにある地中海に面した細長いエリア。2023年10月に始まったハマスとイスラエルの軍事衝突により、一般市民を含む多くの人々が亡くなっている。そのガザ地区の夏を、「干葡萄のごとき乳房」によって端的に描出した。赤子に乳を含ませようとしても、その乳房は干葡萄のように萎んでしまっているというのだ。俳句は戦争・戦禍に対して無力だが、それを承知のうえで、詠まずにはいられない思いがこの句にはある。『俳句四季』2025年11月号。