在所とて闇あり余る除夜詣 直人
「除夜詣(じょやもうで)」は大晦日の夜(除夜)に、神社や寺院へお参りに行くこと。一年の無事を神仏に感謝し、来る年の平安や幸福を祈る。「年越詣」の傍題。
掲句は、在所における「除夜詣」を詠む。「在所」は、作者が生まれ育ち、現に住み続けている場所。年が暮れようとする頃の作者の「在所」は、田舎のこととてあり余る闇が占めているというのだ。都会の灯に汚されない全き闇に包まれて、近くの産土神にお参りに行きながら、行く年来る年を思う。心豊かな「除夜詣」である。なお、「とて」は、ここでは理由や根拠を表す措辞として用いている。平成17年作。『風の空』所収。