枯蟷螂抜き差しならぬ眼が二つ 直人
「枯蟷螂(かれとうろう)」は秋から冬にかけて草木が枯れていく中、茶褐色や枯れ色になり、生気を失いつつも生き永らえているカマキリのこと。
掲句は、「抜き差しならぬ」という慣用句を用いて、「枯蟷螂」の姿を描き出した作品。「抜き差しならぬ」とは、身動きが取れず、どうにも処置のしようがない状態を表し、「抜き差しならぬ眼」とは、そこにとどまって耐え抜くしかないとの覚悟がありありと表れた眼をいうのだろう。冬が深まっていく中で、どこにも逃げ場がない、また、逃げ去るつもりもない「枯蟷螂」の姿が彷彿する。その姿は、同じ風土に住み続ける作者の自画像でもある。平成15年作。『風の空』所収。