山国にがらんと住みて年用意 直人
「年用意」は新しい年を迎えるため、年末に家の中や身の回りの支度を整えること。大掃除・片付けから、家の修繕、 春着(晴れ着)の仕立て、新年用の食器や道具の取り出し、 松飾り、注連飾り(しめかざり)の手配、床飾りなどまで、作業は多岐にわたる。
掲句は、山国に定住して夫婦2人で住む年末の感懐を、「がらんと」という擬態語により表出した作品。句集の冒頭に置かれている。状況の細部の説明はないが、山国に「がらんと」住んでいるというだけで、作者身辺の暮らしの手触りが想像できるところに、この言葉の的確さがある。「山国に」と大きく捉えたことで、作品に豊かな広がりが生まれた。平成7年作。『矢竹』所収。