藤は春に紫色の花を咲かせたあと、長さ10~20センチほどの莢(さや)状の藤の実をつける。藤の実は、秋が深まると緑色から灰褐色に乾き、終には弾けて碁石のような平らな種子を飛ばす。
掲句は、乾いて地に落ちていた藤の実を夕日の温みごと拾ったという。散歩の途中徒然(つれづれ)に拾った藤の実の夕日の温みを、作者は満ち足りた思いで感じ取ったのだろう。好天の下、帰途につこうとする作者の胸中にある心の安寧をも想像させる。秋の夕日はたちまち沈み、野路は刻々と暮れていく。『俳句』2026年11月。
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