葡萄村金ナ錆色の寒さ来る 直人
「葡萄」はブドウ科ブドウ属に属する蔓性落葉樹木。その果実は秋の実りを代表する果物。葡萄栽培の盛んな村が「葡萄村」。
掲句は自らが定住する「葡萄村」に「金ナ錆色」の寒さが訪れると詠む。「金ナ錆色」は、赤茶けた鉄の錆色(さびいろ)。収穫が終わり枯れ始めた一望の葡萄棚を眼前にしての作者の造語だろう。「金気(かなけ)」は水や土に含まれる鉄分などの金属の成分や、そこから感じられる独特のにおい・味のことだが、この句の「金ナ錆色」からも、同様に、光沢のあるゴールドよりも錆びついた鉄の色合いを思い浮かべたい。葡萄紅葉は品種や系統により様々な色合いを呈するというが、それらが入り混じった様は、単に「錆色」と言ったのでは表現しきれない冬の葡萄棚の色合いなのだ。事細かな描写を省略した「金ナ錆色の寒さ」との端的な措辞は、風土を鷲掴みにしたような趣がある。『遍照』所収。