廣瀬直人の俳句(88)

日脚伸ぶ母を躓かせぬやうに 直人

「日脚伸ぶ」は冬至を過ぎてから、日の出から日の入りまでの昼間の時間が少しずつ長くなっていくこと。実際に日が長くなったことを実感するのは、1月半ばを過ぎる頃である。

掲句は、立春が近づく頃、外出が増えた母堂が躓(つまず)かないように日脚が伸びると詠む。恰も、母堂を躓かせないために、天地の運行を差配する天帝の計らいで日脚が伸びたと詠むところに、一句のウィットがある。年老いていく母堂に対する心遣いが、このような温かみのあるウィットを引き出したのだろう。老母を見守る作者の優しい眼差しが思われる。平成6年作。『遍照』所収。

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