夜の床の浮かんばかりに虫時雨 森岡正作

「虫時雨」はスズムシやコオロギ、キリギリスなどの秋の虫が一斉に鳴きたてる声を、初冬の時雨(しぐれ)の降る音に譬えた言葉。「虫」の傍題。

掲句は、秋の夜、虫が一斉に鳴きたてる声の中にいて、寝床が浮き上るようだと詠む。確かに、家の周りで鳴く多くの虫の声が寝室にも入り込んできて、そんな錯覚に陥ることがある。「浮かんばかり」との措辞は、寝室を包む数知れぬ虫の音を想像させて的確だ。『俳壇』2026年11月号。


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