廣瀬直人の俳句(85)

木のまはりばかり澄みゆく年用意 直人

「年用意」は新年を迎えるために、年末に家の中や身の回りの支度を整えることをいう。衣類や道具の支度、煤払い、正月用品の買い物、飾りつけの用意など多岐にわたる。

掲句は、年末の「年用意」の忙しなさの中にいて、ふと庭先の木に目を止めての作品。人の世と関わりなく、庭先の木々は静かな佇まいのまま新たな年を迎えようとしている。世の騒がしさから一歩離れた作者の澄んだ目と心が捉えた歳晩の風景である。人間の生活に関わる「年用意」の句としては異色の一句。昭和57年作。『朝の川』所収。

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