一月や母にたまたま夜の客 直人
「一月」は一年の初めの月。寒さがもっとも厳しくなる一方で、新年を迎えて、各地で正月行事が行われる。また、厳しい寒さの中で、日脚が少しずつ伸び、生き物たちは次の季節(春)へ向けて動き出す。
掲句は、「一月」のとある夜、母堂にたまたま夜の客人があったという。正月の華やぎが過ぎ、依然として寒さの厳しい時期である。そのような時節に、普段は客の来訪が稀な老母を夜になって訪問するとは、一体誰が何の用件で訪ねてきたのだろう。作者は微かな興味を覚えながら、少し離れたところから見守っているのだ。「一月」という抑制の利いた季語が、句の味わいを深めている。昭和53年作。『朝の川』所収。