全身に花影まとふ妻を撮る 

「花影(はなかげ、かえい)」は、月の光や日差し、街灯などの光によって、地面や壁、水面などに差したり映ったりする桜(花)の影のこと。咲き誇る花そのものの存在感を影に譬える場合もある。「花」の傍題。

掲句は、永年連れ添っている妻を詠んだ作品。新宿御苑で行われた桜を見る会では、ソメイヨシノは大方散った後だったが八重桜が満開で、その豊かな花房一つ一つが同行の妻の顔や肩に影を落とした。職業人としての私の生活も終盤に差しかかった頃で、永い職業生活に対する多少の感慨もあったと思う。安倍首相(当時)の声が拡声器を通して頻りに聞こえてきたが、参会者が密集するエリアには近づかずに、専ら人影の疎らな閑静な木立の中を歩いた。平成31年作。

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