廣瀬直人の俳句(82)

葱伏せてその夜大きな月の暈 直人

「葱」は中国原産のキジカクシ目ヒガンバナ科に分類される多年草。ダイコンと同様に、古い時代に日本へ導入され、栽培及び品種改良がなされてきた。寒さの中で甘みと風味が増す代表的な冬野菜。

掲句は、自邸の菜園で育てている葱を詠んだもの。葱を伏せる作業が終わった畝々を、大きな暈(かさ)をまとった月が照らしているのだ。「葱伏せる」とは、冬の寒さの中で葱の苗を寝かせて冬越しをさせること。やわらかな月光のもと、自ずからひと作業が終わってほっとした気分も伝わってくる。月の暈は月光を和らげるが、天気が下り坂になる前兆でもある。昭和51年作。『日の鳥』所収。

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