子の一家発ち十五年墓洗ふ 永瀬十悟

「墓洗ふ」は、盂蘭盆会(うらぼんえ)の時期に先祖の墓を掃除し、水やタワシできれいに洗い清めること。祖先をこの世に迎える際に、前もって墓を洗い清め、花や香を手向けてお参りする。「墓参」の傍題。

掲句は、東日本大震災の被災地に住み続ける作者が、発災後15年を経た感懐を端的に表出した作品。福島県在住の作者は、被災した生地にとどまって、先祖の墓を守り続けているが、向後を託すべき子の一家は、福島を離れたままなのである。事実そのままを飾らずに表現しながら、「十五年」という月日の重みがずしんと胸に響いてくる。『俳句』2026年10月号。


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