「干天(かんてん)」は雨が降らず日照りが続くこと。昼は夏の強い日差しが地面に照りつけ、夜は乾ききった空気を通して星々が爛々とかがやく。「旱星(ひでりぼし)」ともいう。
掲句は、干天にかがやく星を仰いで、これまでに殉教した多くの聖人たちに思いを馳せての作品。殉教者と言えば、キリスト教初期の聖人(聖ペテロや聖パウロなど)や、日本のキリスト教弾圧で亡くなった人々などを思い浮かべるが、これらの人々に限ることもないだろう。一人一人の殉教者の魂は、干天にぎらぎらとかがやく星になったという。夜の涼気の中で仰ぐ星々ではなく、どこか息苦しい「干天の星」になったと想像するところに、殉教者たちの生前の苦難を偲ぶ作者の思いが表出されている。『俳壇』2026年10月号。