鹿は偶蹄目シカ科に属する哺乳類。秋の発情期に、雄は雌を求めて哀愁を帯びた声で鳴く習性があることから、昔から和歌や俳句では秋の景物とされてきた。
掲句は、雄鹿が雌を求めて鳴く晩秋の頃の寂寥感を詠む。遠く聞こえる野性の鹿の声と身ほとりの闇という遠近の対比が利いている。日が暮れて作者をつつみ込む身辺の闇を「蒼みゆく」と感受したところには、自らの人生の秋に対する感慨も交じっているようだ。『俳壇』2026年10月号。
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