曇天の蒸して葡萄に色が来る 直人
「葡萄」はブドウ科ブドウ属の落葉蔓性低木。世界中で古くから栽培されており、果実を生食するだけでなく、ワインの原料としても重要な植物。
掲句は、熟れて色づき始める頃の葡萄を詠んだ作品。ひと口に葡萄と言っても、巨峰のように黒色や濃紫に熟れるものもあれば、デラウェアや甲州葡萄のように赤茶色に熟れるものもある。いずれにしても、空に蒸し暑い雲が群がる8月頃の果樹園の情景だろう。立秋を過ぎても厳しい残暑の日が続く。しかし、この蒸し暑さこそ芳醇で甘い葡萄を育む甲府盆地の風土。平成11年作。『矢竹』所収。