「蟇(ひきがえる)」は両生類カエル目ヒキガエル科のカエル。「ガマ」「ガマカエル」「イボガエル」とも呼ばれる。春先の繁殖期には水辺にいるが、その後は森や草むら、民家の庭などの陸上で暮らす。夜行性で、蒸し暑い夏の夜になると、餌を求めて庭先などに姿を現す。
掲句は、蟇が身辺に現れる頃の、じっとりと汗ばむような夕暮を描く。「みつみつと」との擬態語が、夕暮どきの夏の庭先などを想像させて効果的だ。そろそろ夜行性の蟇が活動を始める時分である。鈍重でむさくるしい姿の蟇は、こんな汗ばむような夕暮に相応しい。なお、「蜜蜜(みつみつ)」は、辞書によれば、「仏教由来の表現で、隙間なく、非常に親密であるさま」とある。この言葉を、夏の夕暮れどきの雰囲気・空気感に用いたところが作者のオリジナリティ。『俳句』2026年9月号。