白桃の紅寝静まるごとくなり 直人
白桃は、黄色い果肉の黄桃(おうとう)に対して、果肉が白っぽく、みずみずしい果汁と上品な甘さが特徴。桃は太陽の光を浴びることで赤く色付くが、袋掛けをすることで色付きをコントロールすることができる。多くは生食される。
掲句は、収穫前に袋を外して綺麗に発色した白桃を詠む。白桃を美味しそうな美しい紅色に仕上げるのは、果樹園農家の腕の見せ所だろう。太陽の光を浴びて適度に色づいた桃の紅を、まるで寝静まっているようだと表現したところに、自ら手塩にかけた桃に対する愛おしみと自足の思いが見える。収穫を待つばかりの昼の桃畑の森閑とした趣を味わいたい。昭和59年作。『朝の川』所収。