夏の終り頃、ふと吹き過ぎる涼風に何となく秋めいた感じのする夜がある。それが「夜の秋」。日中はまだうだるような暑さが残るものの、夜の涼しさに秋の訪れを感じる。
掲句は、折りからの「夜の秋」に、帰宅してネックレスを外すところを詠む。擬態語の「ぞろり」は、本来は長い衣服などをだらりと引きずる様や、多くのものが一つにつながって続く様を表す言葉で、この句の場合はネックレスの形容でもあるのだが、それに加えて、長い外出の一日を終えた作者のほっとした気分をも表している。「夜の秋」の気分の中で、この擬態語が本来の意味内容以上に豊かに働いている。『俳句』2026年8月号。