かなかなはしろがねいろの息をつぐ 馬場龍吉

「かなかな」は「蜩(ひぐらし)」のこと。朝夕の涼しい時間帯や薄暮の頃に、鈴を振るような澄んだ高い声でカナカナカナと鳴く。

掲句は「かなかな」の声の途切れる一瞬を、「しろがねいろ」の息を継いでいると詠む。初秋の頃朝晩鳴く「かなかな」の声は限りなく澄んで、遥かな時空に心を誘うところがある。その一つ一つの声に耳を澄ませていると、鳴き止むことがあるのだが、作者は、その数刻の間「かなかな」が「しろがね」の息を継いでいると感じ取った。声を通して対象の命の本質に迫ろうとする気迫が感じられる作品。『俳句』2026年8月号。


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