廣瀬直人の俳句(57)

乾びゆくものに土蔵と唐辛子 直人

「唐辛子(とうがらし)」は南米原産のナス科の一年草。夏、白い花が咲いた後青い実をつける。実は、秋に真紅に色 づくと辛味が一段と増す。香辛料や食用として広く栽培されている。

掲句は、厚い土壁で覆われた「土蔵」とそこに干されている「唐辛子」を詠む。長期保存するために土蔵の軒下などに「唐辛子」が干してある光景は、農村などではよく目にする。晩秋の澄み切った日差しの中で、唐辛子も土蔵もからからに乾いている。この句はただそれだけのことを言っているに過ぎないが、冬が近づいてくる頃の静かな農村の佇まいが見えてくる。省略・単純化の効果だろう。辺りに人の気配はない。昭和51年作。『日の鳥』所収。

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