廣瀬直人の俳句(55)

花剪つて花と歩める蛇笏の忌 直人

「蛇笏忌」は俳人飯田蛇笏の忌日で、10月3日。早稲田大学中退後郷里に帰り、「雲母」を主宰。 1962年に77歳で逝去した。

飯田蛇笏は作者の先師に当たる人である。全句集の季語別索引によれば、作者が作った蛇笏忌の句は、句集未収録の作品を含めて計31句にのぼる。その中でも、掲句は初期の佳品の一つ。菊、コスモスなどの秋の草花を剪つて、その花を手に蛇笏の墓前まで歩いて行くのだろう。忌日に際して花を手向けるという行為にともなう純粋な追慕の思いが、平明な措辞の中にごく自然に表れているところがいい。昭和49年作。『日の鳥』所収。

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