いま秋を確かめて飛ぶ海の鳥 直人
「秋」は立秋から立冬の前日まで。現在の暦では8月初旬頃から11月初旬の頃まで。残暑厳しい8月から肌寒さを覚える晩秋にかけてが秋に含まれるが、おおむね暑い夏から解放されて冬へ向かう途中の快適な季節。
掲句は、周囲の秋を確かめて飛び立つ海の鳥を詠む。暑かりし夏も去り、大気は澄み、空も海も紺碧を深めていく季節。秋の気配は海のみならず岸辺の草木にも感じられることだろう。海の鳥といえばカモメやアジサシなどが思い浮かぶが、その海の鳥が、今しも周囲の秋の到来を確かめて飛ぶという。「秋」「海の鳥」とのやや抽象性を帯びた措辞に臨場感を与えているのが、冒頭の「いま」の一語であることは見逃せない。一見平明で大掴みな描写により秋という季節の全貌を掴み取ったような佳品。昭和47年作。『日の鳥』所収。