いたどりを嚙みて土佐弁はばからず 亀井雉子男

「虎杖(いたどり)」はタデ科の多年草。山野に自生する。春先、赤味を帯びた新芽が出る。新芽や茎は酸味があり、生食や和え物にする。

掲句は、久し振りに故郷の土佐に帰郷して、友らと旧交を温めながら、野に萌え出た虎杖を噛んでいる場面を詠んだもの。同郷の人と故郷の野に遊んで、身も心も解き放たれたような気分がよく表れている。故郷に定住している人も、離郷した人も、そこでは誰憚ることなく故郷の土地訛りで話す。何気なくそこらに生えた虎杖の新芽を噛むと、その酸味は、かつてそれを折って食べた幼少期を思い起こさせるのだろう。『俳句』2026年6月号。


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