廣瀬直人の一句(50)

蛇笏忌の赤土踏まれ踏まれ昏る 直人

蛇笏忌(だこつき)は、俳人飯田蛇笏の命日で、10月3日。蛇笏の自邸「山廬(さんろ)」にちなみ「山廬忌(さんろき)」とも呼ばれる。蛇笏は、高浜虚子の「ホトトギス」で活躍し、のちに自身が主宰した俳誌「雲母(うんも)」で多くの門下生を育てた。

掲句は、蛇笏逝去から2年後の作品。「蛇笏先生三周忌の集ひ(三句)」との前書きがある。三周忌の集いに集まった多くの門弟、句友によって踏み締められた土に焦点を当てて、集いの一日とその余韻を描き出す。集いが終わり、多くの人たちに踏まれた赤土に日暮れが迫るとき、昼間は句友らとの応接に多忙を極めたであろう作者に、先師の面影と向き合う独りの時間が訪れる。昭和39年作。『帰路』所収。

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