「鞦韆(しゅうせん)」はブランコのこと。古くは中国から伝わり、貴族の遊びだったが、現在は子供たちに人気の遊具。冬の寒さから解放されて春風の中で漕ぐ躍動感に、その醍醐味がある。
掲句は、「鞦韆」を立ち漕ぎにして、高い目線から見えてくるものがあると詠む。当たり前のことだが、人は、自分の目の高さから世の中を見ている。大人には大人の、子供には子供の見え方があるだろう。ブランコを立ち漕ぎにして、座っているときより周囲が広々と見えてくるのは気持ちいいものである。この句は、視界が開けた気持ちよさに加えて、日頃我々が意識していない外界のものの見え方を改めて意識させるところがある。『俳壇』2026年6月号。