秩父山塊六月の襞に雪 直人
「六月」はほぼ梅雨の時期に重なる。長雨で身辺がじめじめする季節であるが、稲作に貴重な水をもたらしてくれる。山は瑞々しい緑におおわれ、夜は蛍が飛び、紫陽花や梔子などが咲く。
掲句は6月の「秩父山塊」を詠んだ作品。「秩父山塊」は関東山地の中心部をなす山々。作者の郷里の北に聳つ山々の連なりだ。その山塊の襞々は、6月に入っても雪をとどめているという。表現内容は簡明だが、「六月の襞に雪」との朴直で直截な表現が句の力になっている。一読、山容の厳しさと風土の手触りが伝わってくる。平成23年作。『風の空』以後。