廣瀬直人の一句(45)

虚の樹に音かぶさつて送り梅雨 直人

「送り梅雨」は梅雨明け直前に降る激しい雨や雷雨のこと。梅雨を送り出し、夏を迎えようとする荒々しい雨が、梅雨を送り出すかのように降る。

掲句は、虚(うろ)の樹に音をたてて降る梅雨明け前の荒雨を詠む。何らかの理由で内部が腐朽して虚ができたのだが、持ちこたえて齢を重ね、作者の身辺に根を張っている老樹。日常の四季折々にその老樹に注がれる作者の懇ろな眼差しが思われる。老樹と作者は、風土をともにするもの同士の絆で結ばれているのだ。平成22年作。『風の空』以後。

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