「鳥帰る」は、冬を日本で過ごした鴨、雁、白鳥などの渡り鳥が、春に繁殖地である北国へ戻ること。
掲句は、渡り鳥が北方に帰って行く頃、切株の年輪の中心が北に片寄っていることを詠む。切株の芯が東西南北のどちらかに片寄るのは、木の生育環境によるもの。芯が北に片寄っている切株は、その木が生前、北という方角に対して身構えていたことを示す。それは木枯しが吹いてくる方向であり、冬将軍がやってくる方向である。また、春、渡り鳥が帰って行く方角でもある。掲句は、北という方角のもつ豊かな意味合いを、改めて思い起こさせる。『俳句』2026年5月号。