廣瀬直人の一句(43)

上げ潮にうねる色ある半夏かな 直人

「半夏(はんげ)」は七十二候の一つ「半夏生」のこと。夏至から11日目に当たり、太陽暦では7月2日頃。かつては田植の終期とされていた。ドクダミ科の多年草「半夏生草」が生える頃でもある。

掲句は、岸辺から潮が満ちてくる海原に望んでの作品。潮位を上げながら差してくる潮が見せている「うねる色」は碧瑠璃色だろうか、それとも鈍色がかった暗い色だろうか。いずれにしても、海のもつ巨大なエネルギーを感じさせる表現。折から盛夏に向かおうとする時節であり、作者はその潮の色に圧倒的な自然の力を感じ取っているのだ。この句の場合は、気象用語としての「うねり」にこだわる必要はないだろう。平成20年作。『風の空』以後。

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