涼しさの芯に鉄瓶吊さるる 今瀬一博

「涼し」は、夏の暑さの中で思いがけず覚える心地よい涼しさのこと。流水や木陰など、涼しさを感じる場面は様々で、そこに作者の個性が表れる。

掲句は、自在鉤に吊るされている鉄瓶を詠んだ作品。といっても、夏のことで、囲炉裏には火の気はなく、辺りに人の気配はない。「涼しさの芯に」との措辞が、作者の感動の焦点を明確に示している。夏の真昼、ほの暗い囲炉裏の真ん中に吊るされている鉄瓶は、言ってみれば「夏炉冬扇」のようなものだが、ひんやりとして確かに涼し気だろう。『俳壇』2026年5月号。


コメントを残す