夏の山野をおおう草木の満目の緑をいう。「茂」よりも広範囲な情景である。王安石の「万緑叢中紅一点、動人春色 不須多」という詩の中の「万緑」を用いて、中村草田男が〈万緑の中や吾子の歯生え初むる〉と詠んでから、この言葉が多くの共感をよび、季語として定着するようになった。この漢語のもつ力強さには、自然讃仰の響きがある。
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