父よりも父に似しわれ木の葉髪 淵脇護

「木の葉髪」は初冬の頃、夏に傷んだ毛髪が生え替わるなどのため、抜毛が多くなることをいう。折から木の葉が落ちる季節。一抹の侘しさを感じさせる言葉。

掲句は、父という作者の胸深く棲む存在に目を向けた作品。いつしか亡き父の行年に近い年齢になったが、胸中の父の面影は薄れるどころか、年々濃くなってきたのだ。「父よりも父に似」ているというアイロニカルな把握には、言葉の上の技巧にとどまらない実感がある。作者の経てきた半生の時の厚みを感じさせる。『俳句界』2025年5月号。


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