嘴に挟む実青し更衣 山口遼也

「更衣(ころもがえ)」は、陰暦4月1日をもって衣服などを夏のものに改めた宮中行事に由来するが、今では会社でも学校でも寒暖に応じ個人個人の事情に応じて衣服を更えるようになった。初夏の軽やかな気分が感じられる季語だ。

掲句の嘴(くちばし)の持ち主は留鳥の椋鳥か鵯だろうか。夏鳥として南方から渡ってきた鳥でもいいだろう。いずれにしてもその嘴が挟んでいる実の青さに、この句の焦点がある。更衣の季節の軽やかさ、さわやかさが、嘴に挟んだ実の青さに集約されている。感覚の集約が巧みな作品だ。『文藝春秋』2024年8月号。


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