合格のあと雪を踏み土を踏み 岩田奎

「合格」は「入学試験」(春季)の傍題。高校、大学のほか、私立の小中学校、幼稚園でも行われる。受験前の本人、家族の不安や緊張、合格を決めたときの喜びは、受験シーズン独特のものだ。

掲句は、合格を決めて受験を無事に乗り越えた人の内面が浮かび上がってくる作品。「踏み」のリフレインで、改めて、日常生活の中での「踏む」という行為のもつ積極的な意味合いが印象付けられる。それは作者に生きる力を与えてくれるものであり、自己肯定の源泉にもなる動作だ。融け残る雪を踏み、土を踏んで行く先に、明るい未来が開けてくるのだ。『文藝春秋』2024年5月号。

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