起きてすぐ筆とる暮し冷まじや 佐藤博美

冷(すさ)まじは、冬近い頃の冷然、凄然とした気配。多分に心理的な意味合いがある。

掲句の「起きてすぐ筆とる」とは、ものを書くことを生業としている人の、或いは、句作・選句などを含めてものを書くことを生活の芯にしている人の生活ぶりが想像される。作者はそのような自らの暮らしを、冷まじと感受した。ものを書くという営みに明け暮れる自らの暮らしに対するやや突き放した眼差しが感じられる。『俳句』2023年12月号。

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