鶏頭は古く大陸から日本に到来したヒユ科の一年草で、鶏冠(とさか)のような花の形にはどこか妖艶な印象がある。
掲句は、鶏頭から受ける印象を「人間臭き」と表現した。「影」は昼間の地面や塀に差す鶏頭の影とも、夜闇に紛れつつ立つ鶏頭の姿ともとれる。作者は、その影に人間に似た雰囲気を感じ取った。人間と鶏頭とは、雰囲気が似た生き物同士なのかも知れない。『俳句』2023年10月号。
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