「春雨」と「春の雨」は、歳時記に別の季題としてたてられており、「春の雨」が、春に降る雨の総称であり、初春から晩春にかけての色々な降り方の雨を含むのに対し、「春雨」は、晩春の、小止みなく静かに降り続ける雨のことをいう。「春雨」に濡れながら、木々は葉を広げ、蕾は生き生きと雨を弾く。からからに乾いていた田圃も濡れて、蛙の声が遠近から聞こえてくる。ただ現代では、実作者としても、読み手としても、両者をそう峻別する必要はないだろう。

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