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俳句の庭

  • 瀧口にみどり密集してしづか

    5月 18th, 2023

    「瀧(滝)」は、垂直に切り立つ断崖を流れ落ちる水のこと。瀧を前にした涼味は、夏ならではの醍醐味だ。

    掲句は、長野の山中の瀧を訪れての作品。折からの雨が上がったところで、水量が豊富な瀧が轟轟と音を立てて飛沫をとばし、辺りの物音をかき消す程だった。「瀧口」からは途切れなく水が落下していたが、その音が辺りの木々の緑に吸い込まれるような錯覚を覚えた。平成21年作。『春霙』所収。

  • 石榴の花

    5月 18th, 2023

    石榴(ざくろ)は、西南アジア原産のミソハギ科ザクロ属の落葉高木。平安時代に中国から渡来し、庭木などの観賞用に栽培される。最も古くから栽培された果樹の一つ。仲夏の頃、朱色又は深紅の筒状の六弁花を枝先に咲かせる。丁度梅雨時なので、満目の緑の中で、鮮やかに目に映る。

  • 春キャベツ刻みさしあたり幸せ 山尾玉藻

    5月 17th, 2023

    単に「キャベツ」といえば、初夏の季語(「甘藍」の傍題)であり、春のうちに出回る走りのキャベツは「春キャベツ」として区別する。他の季節のキャベツに比べて、みずみずしい黄緑色をしており、柔らかく、葉の巻きがゆるいのが特徴だ。

    掲句には、春キャベツを刻みながら、ふと立ち止まって自らの日常を振り返っている趣があろう。「さしあたり」は、先のことは兎も角、今現在は幸せな日々を送れているとの意味合い。今の時間を大切に、丁寧に生きている女性の心情である。中七以下は破調だが、野球でいえば、緩急自在の投球を思わせる。『俳句』2023年5月号。

  • 夏の川

    5月 17th, 2023

    夏の川は、雨が降り続けば水嵩が増して濁流となって流れ下り、晴れた日が続けば、水量が減って岩や中洲が現れる。また、満目の緑の中の川釣りやキャンプなど、人々に楽しみを与える。天候や時期、場所によって、人に見せる表情が一変するのが、その特徴だ。陰暦五月の梅雨の頃の川は、「五月川(さつきがわ)」として詠むこともある。

  • 清潔な日の斑をまとひ袋掛

    5月 17th, 2023

    「袋掛」は、林檎、梨、桃、枇杷などの栽培で、果実を鳥や病虫害から守り、外観を美しく保つため、紙の袋を掛けること。摘果の後、実の一つ一つに袋を掛けるのは、根気の要る作業だ。

    掲句は、山梨県勝沼の葡萄畑での作品。行けども行けども左右は葡萄棚で、棚の奥の方で夫婦らしい二人が黙々と袋掛けをしていた。青々とした葡萄の葉を零れてくる日が、作業をしている人の肩や腰に差して揺らめいていた。平成20年作。『春霙』所収。

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