夜が長い秋は闇に親しむ季節だ。闇の中で虫の声に耳を澄ましていると、来し方やわが身の行く末のことが胸中を去来する。
掲句は暗がりで虫の鳴き声に包まれていての作。近くの闇に鳴いているコオロギも、たまたまコオロギに生まれて、今を生きている。私も60余年前に人に生まれて今を生きている。人の命もコオロギの命も、ともに宇宙の生々流転の中にあるというようなことを思った。令和4年作。
夜が長い秋は闇に親しむ季節だ。闇の中で虫の声に耳を澄ましていると、来し方やわが身の行く末のことが胸中を去来する。
掲句は暗がりで虫の鳴き声に包まれていての作。近くの闇に鳴いているコオロギも、たまたまコオロギに生まれて、今を生きている。私も60余年前に人に生まれて今を生きている。人の命もコオロギの命も、ともに宇宙の生々流転の中にあるというようなことを思った。令和4年作。
ナツメは中国原産のクロウメモドキ科の落葉高木。日本には古くから渡来し、自生するものもあるが、多くは庭などに植えられている。夏に淡黄色の目立たない小花が咲いたあと、2センチほどの楕円形の実を結ぶ。初秋の頃、実は暗紅色に熟れ甘酸っぱい味がする。ビタミン豊富で食用や薬用になる。

秋になると大気は冷ややかになり、川の水は透明度を増してくる。晴れた日には日差しが川床まで届き、魚影や川床の石の一つ一つがくっきりと見える。川べりには葦や芒の穂が風に靡き、川面は流れ去っていく雲を映す。

月見は、陰暦8月15日の中秋の名月を賞すること。月見酒は、月見に人を招いてともに酒を飲むこと。気の置けない親しい人を招く場合も、より改まった宴席の場合もあるだろう。
掲句は、軽い風狂の気分が出ている作品。酒や料理を前に、明かりを消してともに月を愛でようというのだ。宴席の趣向の一つとして明かりを消したのかも知れないが、よりざっくばらんで親し気な雰囲気が表れているようにも思う。『俳句界』2023年9月号。