中国原産のムクロジ目ミカン科の常緑低木。奈良時代に日本に渡来。別名鬼柚子。柚子の名を付けられているが、柚子とは別種の文旦の仲間。初夏の頃、芳香のある白色の花を咲かせた後、直径20センチ以上の大きな実が生る。生食よりも、ジャムやマーマレード、果実酒などに利用される。また、邪気を払う縁起物としても使われる。なお、歳時記には掲載されていない。


「鷭(ばん)」はツル目クイナ科の鳥。全国の水田、湿原、湖沼などの草の茂った水辺に繁殖し、水辺の植物の種子や昆虫等を餌としている。留鳥だが、北国に棲息しているものは、冬季、関東以西の温暖な地方へ移動する。
掲句は石神井公園の三宝寺池で鷭の幼鳥を眺めていての作。鷭の幼鳥は巣立った後も遠くへは行かず、巣の近くの水草を伝って餌を求めて歩き回る。幼鳥はからだの羽毛がうすい褐色で、親鳥とすぐ見分けがつくが、逞しい二本の脚だけは一人前だ。眺めているうちに、鷭の子が私の胸中を覗きに来るような錯覚に囚われた。独り心から生まれた空想の一句。令和元年作。
夏、涼みもかねて、屋外の音楽堂、公園の特設会場、広場などで行われる吹奏楽やジャズなどの演奏会。演者も聴衆も屋外の解放感を味わえる機会だ。

盛夏の頃、日照りが長く続いて旱ばつ状態となっている時にようやく降る恵みの雨のこと。農家の人たちや草木、鳥獣などの生き物たちにとって、待ちに待った雨である。

冷房は、現在家庭、学校、オフィスその他の建物内や電車内など至るところに普及し、夏季の日常生活は冷房なしには済まされない。ときには、自然から隔離された冷房の室内よりも、戸外の涼風が恋しくなることもある。
掲句は、秩父の横瀬町歴史民俗資料館を訪れたときの作品。冷房の効いた館内には、近くの鍾乳洞から出土したオオカミの化石が展示されていた。13万年前のものだという。秩父の山々にはかつて沢山のオオカミが生息し、人々の信仰の対象になってきた。この地域には、オオカミを「お犬様」として祀っている神社が数多くある。オオカミは20世紀初頭に絶滅したとされるが、現在でも人々の心に宿り続けているという。ガラスケースのオオカミの化石を眺めながら、オオカミが野山を歩き回っていた頃のことに思いを巡らした。平成26年作。