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俳句の庭

  • 引力の静けさを航く月の海 正木ゆう子

    10月 26th, 2024

    「月」は一年中眺められるが、単に「月」といえば秋の季語。空は澄んで、頭上の月が大きく地上に照りわたる。「月の海」は、澄んだ月が照らし出している海原。

    掲句は「航(ゆ)く」との措辞から、夜の船旅を思いたい。デッキの上に佇むと、頭上の月が静かな海を照らしている。作者はその静かさの中で、月と地球の間に働いている引力を感じている。静かであればある程、その目に見えぬ力がありありと感じられたのだ。宇宙のダイナミズムを感じさせる大柄な一句。『俳句』2024年11月号。

  • 柾の実

    10月 26th, 2024

    「柾(まさき)」はニシキギ科の常緑低木。沿岸部に自生するほか、庭木や生垣として、また、海岸地方では風よけとして植えられる。夏に緑白色の花をつけた後、秋に丸い実が生る。実は熟すと縦に裂け中から赤い種が現れる。

  • 身に入む

    10月 26th, 2024

    秋も半ばを過ぎる頃、身辺に忍び寄る冷え冷えとした秋の気配を、身に入(し)みとおるように感じること。平安朝の和歌で「身にしむ風」「身にしむ秋」など好んで用いられた表現が、その後秋の季語として定着した。秋の哀れさ、人生の寂寥がこめられた心情的な語。

  • 日陰より日向へ激ち秋の川

    10月 25th, 2024

    「秋の川」は秋になって冷ややかに清く澄んだ川。日の当たる川底に、魚影や落葉の影がくっきりとどく。川岸には丈高い草の穂が風に靡く

    掲句は、青梅線のとある駅で下車して、上流の多摩川べりを歩いたときの作品。両岸には青梅の山々が迫り、川はその山陰を飛沫を上げながら流れた。当日、素材になりそうなものは数多くあったが、「日陰」「日向」と対象を単純化したことによって、山間(やまあい)を流れる川の冷え冷えと澄んだ感じが表現できていれば幸いだ。平成5年作。『河岸段丘』所収。

  • 秋寂び

    10月 25th, 2024

    秋の深まる頃のものさびしい風情。草木は枯れ始め、樹々は落葉を急ぐ。風も一雨ごとに冷たくなる。去り行く秋を惜しむ思いもある。

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