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俳句の庭

  • 夭折のチェリストの名の冬薔薇

    11月 4th, 2024

    「冬薔薇」は冬になっても花をつけている薔薇のこと。あらかた葉を落として、咲き継いでいる姿は鮮やかで美しい。

    掲句は42歳で夭折したイギリスのチェリスト「ジャクリーヌ・デュ・プレ」の名を冠した薔薇を句にしたもの。二つ、三つ咲いたその清楚な白薔薇の印象が、志半ばで病に倒れたチェリストの姿を彷彿させた。令和5年作。

  • オリオン

    11月 4th, 2024

    ギリシア神話の狩人オリオンの名に由来する冬の星座。赤色のベテルギウス、青白色のリゲル、二つの1等星を対角に大きな四辺形を形成する。真冬の夜に真東から上がり、夜半に南中し、明け方に真西に没する。オリオンの腰の帯を示す三つの星は、数多い星の中でもとりわけ目を惹く。別名「三つ星」。

  • 降り月

    11月 4th, 2024

    十五夜の満月を過ぎて、上半月が次第に欠けていく月のこと。月の出は次第に遅くなり、明け方頃まで月を望むことができる。夜々痩せてゆく月には秋の深まりを感じさせる。逆に、「上り月」は満月になるまで上半月が夜毎に丸く満ちていくもの。

  • 山車ひいて前の職場を通りたる 千野千佳

    11月 3rd, 2024

    俳句で単に「祭」といえば都市部の神社を中心に行われる夏祭を指す。「山車(だし)」等の巡行があり、舞や奏楽などの奉納が行われる。境内や門前には夜店が立ち並び、宵宮から祭り当日にかけて多くの人でにぎわう。「山車」は「神輿」などとともに「祭」(夏季)の傍題。

    掲句は祭当日「山車」を引く人たちの中にいる作者自身を詠んだ作品だろう。これまで何回か転職をして、どの職場も「山車」が巡行する道沿いにあるといった場面が想像される。「前の職場」の前を通るときの多少の後ろめたい気分や気恥ずかしさが、さり気なく出ているところがいい。『俳句』2024年11月号。

  • 冷まじ

    11月 3rd, 2024

    晩秋の頃の急に身に迫る冷やかさをいう。「荒(すさ)ぶ」「すさむ」(物事が勢いのまま進んで、荒れ衰える意)から出た言葉。『枕草子』には、〈昼吠ゆる犬、春の網代、三四月の紅梅の衣、牛死にたる牛飼、乳児亡くなりたる産屋、火おこさぬ炭櫃、地火炉。博士のうち続き女児生ませたる。方違へに行きたるに、あるじせぬ所。まいて節分などは、いとすさまじ〉とある。しらけた気分を表す「すさまじ」がその後「冷まじ」と表記され、季語として使われるようになった。

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