桜の咲く頃の意。桜に限らず、春の花の咲く頃を総称していうこともある。春に咲く花は数多いが、花といえば、日本の詩歌、特に俳句においては、桜をさす。「桜時」「花のころ」ともいう。

桜の咲く頃の意。桜に限らず、春の花の咲く頃を総称していうこともある。春に咲く花は数多いが、花といえば、日本の詩歌、特に俳句においては、桜をさす。「桜時」「花のころ」ともいう。

「桜蘂(さくらしべ)降る」は花が散り終わったあと、桜の蘂が降ること。花どきの華やぎが過ぎた後の、心がしんみりと落ち着くひと時である。
掲句は、「桜蘂」が戸外に静かに降る夜、ひとり検案書を記しているとの句意。検案書は死体検案書のことで、死因や死亡時刻などを医学的に証明するために医師が作成する書類。それを記すことは医師として重要な職務で私情の入り込む余地はないだろう。人の死を証する書類を記しながら、意識の端で、今頃は戸外で桜蘂が音もなく降っているだろうと思っているのだ。淡々とした表情の作品だが、人の死に関わる職業人としての厳粛な思いが伝わってくる。『俳句』2025年4月号。
石楠花(しゃくなげ)は北半球原産のツツジ科の常緑低木。初夏の頃、茎の先端に優雅で柔らかな花をつける。日本やアジアなどの高山地帯に自生するほか、観賞用に庭園などに植えられる。春になると芽がゆっくりとふくらんでくる。

榠櫨は中国原産の果樹。また、秋につける果実のこと。春に淡い紅色の花をつけ、秋には黄色のごつごつした実をつける。3月頃、枯枝の先の芽がほぐれ始める。萌黄色に微かに紅を含んでいる。「木の芽」の傍題だが、歳時記には載っていない。

「きりたんぽ」は秋田地方の名物料理。ご飯を餅のように半つぶしにし、杉串に円筒形にぬりつけて焼き上げる。鶏肉、牛蒡、芹などとともにだし汁で煮て食べる。
掲句は秋田への旅吟だろう。しんしんと冷えてゆく陸奥の空に、星々が次々と現れては光を放つ。「山脈の星を放てる」との山脈を擬人化した大胆かつ簡潔な措辞は、昂揚した旅心の賜物。旅先での「きりたんぽ」を囲んでの歓談の様も彷彿とする。『俳句』2025年4月号。