陸に生息する巻貝の一種で、殻が退化しているものの総称。腹面を伸縮させて這い、その跡は粘液がこびりついて銀色に光る。目につくようになるのは、特に梅雨の終わり頃から。畑の農作物を食害する害虫とされている。「なめくじり」「なめくじら」ともいう。

陸に生息する巻貝の一種で、殻が退化しているものの総称。腹面を伸縮させて這い、その跡は粘液がこびりついて銀色に光る。目につくようになるのは、特に梅雨の終わり頃から。畑の農作物を食害する害虫とされている。「なめくじり」「なめくじら」ともいう。

「茶立虫(ちゃたてむし)」は、チャタテムシ目の昆虫の総称で、体長数ミリほどの小さな虫。障子などにとまって、サッサッと茶を点てるような音で紙を掻くことからこの名がある。もの寂しい秋の音の一つ。
掲句は独り留守居をしているとき、障子に茶立虫の音を聞き留めての作品。そういえば、その日は旅行にでも行ったのか、隣家は音ひとつ無く、しんと静まり返っていた。庭のコオロギの声も弱々しくなる時分であった。平成20年作。『春霙』所収。
トチノキの実。トチノキは、全国の低山渓流沿いに自生する落葉樹。「橡(とち)」は「栃」とも表記する。「橡」はブナ科コナラ属の落葉樹であるクヌギを指す古名でもあるが、トチノキを指す漢字としても使われる。一方、「栃」は主にトチノキを指すために日本で作られた国字。果実の丸く厚い殻の中には栗に似た種がある。縄文時代から食用にされ、今もトチモチなどにして食す。近縁種のセイヨウトチノキは果実の表面に刺がある。

シャモニー滞在中の一日、モンブラントラムウェイに乗車して、シャモニー渓谷の南方のモンブラン山群の中腹まで登った。モンブラントラムウェイは、フランスで最も標高の高い登山鉄道の一つで、シャモニー渓谷から山群の中腹まで登ることができる。終点のニ・デーグル駅はモンブラン登頂ルートの出発点。二両連結だが、駅員の誘導で、本格派のアルピニストたちと私たち観光客は、別々の車両に乗ることになった。

降りたのは終点から一つ手前のモンラシャ駅で、標高2117メートル。そこから一つ手前の駅ベルビューまで歩いた。かつては氷河におおわれていた山膚は、氷河に削られた岩々を荒々しく現わしていた。

トレッキングコースは、ときにはアマツバメの飛び回る中を、ときにはお花畑の中を辿って行った。竜胆やエーデルワイスなど沢山の高山植物を目にする中で、特に印象に残ったのは柳蘭(やなぎらん)。アカバナ科の多年草で、日当たりの良い山膚に群生する高山植物の一つ。直立した茎に葉が互生し、上部に花穂が出て濃いピンク色の花を咲かせる。日本の高原地帯で見かける柳蘭に比べてやや小ぶりだが、群がり咲くさまは見応えがあった。針峰(しんぽう)と呼ばれる鋭い山容と直立して咲きのぼる柳蘭の姿にはどこか似たところがあって、それらが相俟って、アルプスの景観を作り出していた。
ちなみに、針峰は氷河の侵食によってできた針状の鋭い岩峰のこと。そのような山々は、エギュイーユ・デュ・ドリュ、エギュイーユ・デュ・ミディなどエギュイーユ(針、aiguille)の語を冠して名づけられていることが多い。花崗(かこう)岩などの垂直に近い節理をもった岩塊に見られるという。

モンラシャからベルビューまでのコースの標高差は300メートルほど、距離は5キロメートルほどだったが、標高の高い辺りでは蕾がちだった柳蘭が、標高が低くなるにつれて花盛りになっていった。

フランスギクの群落も見かけた。キンポウゲに、放牧の牛が鳴らすカウベルが澄んだ音を立てた。太陽に照りつけられたがれ場を、蝶が横切っていった。

上の写真はベルビューの山小屋風の小さな駅舎。ここから私たちはモンブラントラムウェイに乗車して帰途に就いた。富士登山になぞらえて言えば、モンブランの五合目あたりでハイキングを楽しんでそのまま下山したようなものだろう。