カリンは花梨又は榠樝と表記するバラ科の落葉高木で、秋に果実が実る。大きさは10センチほどで香気が強い。
掲句は10月3日の蛇笏忌に際して、折りから高枝に黄色に熟れている花梨に、蛇笏の生涯や句業を偲んだ一句。生食はできないが香り高い花梨の実には、世の流行に阿らない独特の風格があり、そのイメージが蛇笏の生涯と重なった。山梨旅行中にも、庭木として植えられている花梨の木を見かけた記憶がある。平成28年作。
カリンは花梨又は榠樝と表記するバラ科の落葉高木で、秋に果実が実る。大きさは10センチほどで香気が強い。
掲句は10月3日の蛇笏忌に際して、折りから高枝に黄色に熟れている花梨に、蛇笏の生涯や句業を偲んだ一句。生食はできないが香り高い花梨の実には、世の流行に阿らない独特の風格があり、そのイメージが蛇笏の生涯と重なった。山梨旅行中にも、庭木として植えられている花梨の木を見かけた記憶がある。平成28年作。
白露は二十四節気の一つで、陽暦9月8日頃。残暑は相変わらずだが、昼夜の寒暖差で草木に朝露が宿りはじめる。朝晩はようやく過ごしやすくなる。
掲句は、うすうすと赤らみはじめた朴の実を仰いだとき、花が咲き終わってから経てきた夏の日々に感慨を覚えての作品。朝晩の涼しさに秋の到来を実感する頃だ。朴はモクレン科モクレン属の落葉高木。初夏に黄白色の花を開いた後、赤みがかった実を結ぶ。令和4年作。
鳥兜(とりかぶと)は寒さに強く、関東以南では標高1000メートル以上の高地に分布する。9月頃、茎の中ほどから頂端へ向かって青紫の花を咲きのぼらせる。
長野の野辺山高原での作品。標高1400メートルほどのその辺りは、木々もカラマツやミズナラ、シラカバ、モミなど、平地とは異なる植生が見られた。秋の半ば頃だったが、日暮れともなると早くも冬の足音が聞こえてきそうな冷え冷えとした山気に包まれた。平成20年作。『春霙』所収。
季語としての「小鳥」は、秋に北から渡ってくる小鳥たちや、秋に高地から平野に下りて来る小鳥たちのこと。尉鶲、連雀、鶸などが思い浮かぶ。
掲句は日比谷公園にある碑に興趣を感じてできた一句。碑に刻まれている古代文字の線刻のうねりが印象的だった。今、改めて調べてみると、スカンジナビア(ノルウェー・スエーデン・デンマークの3国)から北極経由で日本までの空路が開設された記念に、半世紀ほど前に寄贈されたもので スカンジナビアのバイキングが残した古代北欧文字碑のレプリカだという。折から小鳥が渡ってくる季節だった。平成26年作。
「こんにやく玉」は「蒟蒻掘る」(冬季)の傍題。コンニャクは傾斜の多い山間地で多く栽培される。初冬、畑の乾いた状態の時収穫する。掘り出した蒟蒻芋は蒟蒻玉ともいわれ、コンニャクの原料となる。
掲句は初冬の頃、秩父の農産物直売所で見かけた蒟蒻玉に興趣を感じてできた一句。それは、たった今掘り出したばかりのように泥だらけで、ごつごつとした代物だった。近隣の人たちの中には、蒟蒻玉を買ったり、自ら栽培したりして自家製のコンニャクを作る人もいるのだ。本格的な冬が間近に迫り、武甲山の岩肌が眼前にそそり立っていた。平成28年作。