猪(しし・いのしし)は豚の原種で、日本では北海道等一部の地域を除き、全国に生息している。田畑の作物を食い荒らすこともある。日本では古くからシシ汁、シシ鍋(牡丹鍋)として食べられてきた。
掲句は晩秋の頃秩父を訪れたときの作品。猪や豚の味噌漬けを売っている老舗の軒先に、皮を剥ぐ前の大きな猪が吊ってあった。もともと肉の味噌漬けは、猟師が獣肉を保存するために考案した肉の保存法だったという。12月2日・3日の秩父夜祭が近づいてくる頃で、町のあちこちで祭の準備が始まっていた。平成23年作。
猪(しし・いのしし)は豚の原種で、日本では北海道等一部の地域を除き、全国に生息している。田畑の作物を食い荒らすこともある。日本では古くからシシ汁、シシ鍋(牡丹鍋)として食べられてきた。
掲句は晩秋の頃秩父を訪れたときの作品。猪や豚の味噌漬けを売っている老舗の軒先に、皮を剥ぐ前の大きな猪が吊ってあった。もともと肉の味噌漬けは、猟師が獣肉を保存するために考案した肉の保存法だったという。12月2日・3日の秩父夜祭が近づいてくる頃で、町のあちこちで祭の準備が始まっていた。平成23年作。
葱の旬は冬で、俳句でも冬の季語になっている。関東近辺ではやはり深谷葱が主流で、味噌汁やなべ物に欠かせない。料理の主役になるような食材ではないが、名脇役として料理を引き立たせ、ときにはなくてはならない存在感をもつ。
掲句は大切りにして煮込んだ葱の甘みを詠んだもの。その甘みは、冬の間晴天が続き、寒暖差の激しい坂東(ばんどう)の風土のたまものと思えた。放射冷却で冷え込んだ夜、外に出ると降るような数の星が爛々と光っていた。平成27年作。
12月9日は明治の文豪夏目漱石の忌日。漱石が文名を得る前、子規を中心とする新派俳人の一人だったことは、余り知られていないかも知れない。大正5年没。
掲句は、何鉢かの冬薔薇のそれぞれが、固有の香りをもつことに気づいたことが契機になってできた作品。英国留学で個人主義を身につけ、長い作家活動の末に個人を超える生き方を見出した漱石のことが、ふと思い浮かんだ。平成22年作。
七五三は、11月15日に行う3歳・5歳の男児、3歳・7歳の女児のお祝い。神社の境内は千歳飴の袋を提げた子供たちと両親、祖父母たちで賑わう。
掲句は神田明神での光景がもとになった作品。着飾った3歳位の女児が、自分の着物の鈴がコロコロ鳴るのを喜んで駆けだすのを眺めていた。折から晴れわたった昼下がり。澄んだ鈴の音が辺りにひびいた。平成19年作。『春霙』所収。
夏には青々としていた庭や公園の芝生は、冬になると枯れて一面狐色になる。日のあるときはあたたかそうな枯芝も、曇天や雨の日は寒々としてわびしい感じだ。
掲句は冬の公園風景を句にしたもの。冬晴れのある日、広々とした枯芝の上で、若者たちが馬跳びをしていた。部活動かサークル活動の一環らしかった。彼らが一列に並んで上体をかがめ跳び箱の形になると、最後尾の一人がそれを軽々と跳び越えていった。彼らの健康な肢体の無心の躍動を、私はしばらく佇んで眺めた。平成16年作。『春霙』所収。