「淑気(しゅくき)」は、新たな年を迎えて、天地に満ち満ちるめでたく厳かな気配のこと。
掲句は元日の朝、埼玉と東京の県境を流れる柳瀬川の遊水地を散策したときの一句。折からの寒さで川面から靄が立ち上がり、靄の中に、数羽の鴨が翼を使うこともなく静かに浮かんでいた。その靄は、年が改まって天地が新たに目覚めたかのように清新に感じられた。平成14年作。『河岸段丘』所収。
「淑気(しゅくき)」は、新たな年を迎えて、天地に満ち満ちるめでたく厳かな気配のこと。
掲句は元日の朝、埼玉と東京の県境を流れる柳瀬川の遊水地を散策したときの一句。折からの寒さで川面から靄が立ち上がり、靄の中に、数羽の鴨が翼を使うこともなく静かに浮かんでいた。その靄は、年が改まって天地が新たに目覚めたかのように清新に感じられた。平成14年作。『河岸段丘』所収。
初護摩は、新年になってはじめて焚く護摩。不動明王などを本尊とし、その前に護摩壇を設け、長短の護摩木を焚き、火中に供物を投じて修する。災いを除き、幸福をもたらし、悪を屈服させることを祈願する。
掲句は狭山不動尊に初詣に行ったときの作品。折から穏やかに晴れ、見るもの聞くものに、新年を迎えた目出度さが感じられる佳き日だった。太鼓の轟とともに、青空高く立ちのぼった護摩木の煤が、ゆらゆらと参拝に訪れた人々の頭上や肩の上に下りてきた。平成18年作。『春霙』所収。
「古年(ふるとし)」は「去年(こぞ、きょねん)」の傍題。新年になって過ぎ去った年をふりかえる心がある。
掲句は、年が改まって、過ぎ去った年のあれこれを思い浮かべての作。関東地方に珍しく雪が降り、粉雪が藪を打つ乾いた音が耳に残った。明るくてどこか侘しいその音に、学生時代の一時期を除き、この地を離れなかったわが半生を振り返った。平成20年作。『春霙』所収。
「三日」は正月三日の略。正月三が日の最後の日であり、自ずから愛惜の思いがこもる。
掲句は、地元の駅の改札口で見かけた光景を句にしたもの。改札の向こうとこちら側で手を振りながら別れる一家族があった。正月の間実家に帰省していた子が自分の住まいに帰って行くところのように見えた。年末年初に帰省していた人も、四日には通常の仕事が始まる人も多いだろう。平成27年作。
「冬深し」は一年で寒さの最も極まる時期のこと。積もった雪や蕭条とした枯色の山野、厚いコートに身を包む人々など冬真っ盛りの情景の中で、春が待たれる日々でもある。
掲句は筆を執っている自らの動作を思い返しての作。書道は月一回ほど義姉の家に通っていた。「起筆」は、書道用語で紙面に筆の穂が接して送筆に移るまでの動きのこと。起筆の時、一呼吸置くことが大事だと教えられた。その僅かな一呼吸の間にも、冬の深まりがひしひしと感じられるような寒中のことだった。平成31年作。