葛湯は、葛粉に砂糖を加え熱湯を注いで攪拌したもの。糊状の透明の飲み物で、滋養もあり体が温まることから、昔から人々に愛飲されてきた。
掲句は冬の最中、熱湯を注いだ葛湯に息を掛けて冷まそうとしているとき、ふと国境で分断された国のことを思い浮かべての作。かつて一つの国に属していた人々が、国境が分断されたため自由に行き来ができなくなったり、離れ離れになってしまうといった悲劇が今なお続いている。昨今の国際情勢には戦争を含め胸を痛ませることが多い。平成26年作。
葛湯は、葛粉に砂糖を加え熱湯を注いで攪拌したもの。糊状の透明の飲み物で、滋養もあり体が温まることから、昔から人々に愛飲されてきた。
掲句は冬の最中、熱湯を注いだ葛湯に息を掛けて冷まそうとしているとき、ふと国境で分断された国のことを思い浮かべての作。かつて一つの国に属していた人々が、国境が分断されたため自由に行き来ができなくなったり、離れ離れになってしまうといった悲劇が今なお続いている。昨今の国際情勢には戦争を含め胸を痛ませることが多い。平成26年作。
冬芽(冬木の芽)は、樹木や多年草に生じ、越冬する芽のこと。鱗片葉で覆われたり、密生した毛で保護されたりして、冬の寒気や氷雪に耐える。落葉樹が落葉すると、俄かに冬芽が目につくようになる。
掲句は初孫誕生(令和2年12月6日)に際しての作品。言葉が始まる前の嬰児だが、ふと、ものを言いたそうにしているように感じられた。「冬芽立つ」に、この子の健やかな成長を願う思いを込めた。令和2年作。
「冬立つ」は「立冬」(二十四節気の一つ。11月8日頃)と同義だが、「立つ」の擬人化が、冬という季節の到来をより身近に実感させるところがあろう。いよいよ冬将軍がお出ましになったという感じである。
20年前に父が、この年に母が亡くなり、気がつけば父母と過ごした月日は全て過去のものになっていた。そんな私の家の中に、今年もずかずかと冬がやってきた。令和元年作。
寒夜は寒さの厳しい冬の夜。草木は枯れ、人も獣も動きをひそめる季節。夜はしんしんと更け、ただ爛々と輝く星々が夜空を渡っていく。
掲句は肌を刺すような寒気の中で、沢山の星を仰いでいての作品。多くの星座は整然と夜空を押し移っていくが、木犀や土星など太陽系の星は時期によって所を変えて出現する。その夜は二つの星が接近したまま西へ移っていった。明治時代の正岡子規と高浜虚子の、時には反発し合いながらの子弟を越えた強い結びつきを思った。平成31年作。
行く年は、年の暮れに当たり、一年間の出来事を振り返り、来し方に思いを巡らせる気持ちがこめられている季語。
掲句は、過ぎ去ろうとしている一年を惜しみつつ空を仰いでの作品。宵の空には早くも月が高々と上がり、それに続いて大粒の星が上ってきていた。それらを目で辿りながら、一年の間の出来事を思い浮かべた。平成27年作。