「トマト」は南米ペルー原産のナス科の野菜。夏野菜の一つ。真っ赤に熟した実はみずみずしく、ほどよい酸味とほのかな甘味がある。
掲句は畑で熟れる前の青いトマトを目にしての作品。実と実が押し合っている充実感は盛夏そのものの感があった。「凡愚」は、
ふるさとの山は愚かや粉雪の中 龍太
などの句中の「愚」の一語が心にあって浮かんできた言葉。「青トマト」のもつ強健な爽やかさが、この言葉から感じられれば幸いだ。平成30年作。
「トマト」は南米ペルー原産のナス科の野菜。夏野菜の一つ。真っ赤に熟した実はみずみずしく、ほどよい酸味とほのかな甘味がある。
掲句は畑で熟れる前の青いトマトを目にしての作品。実と実が押し合っている充実感は盛夏そのものの感があった。「凡愚」は、
ふるさとの山は愚かや粉雪の中 龍太
などの句中の「愚」の一語が心にあって浮かんできた言葉。「青トマト」のもつ強健な爽やかさが、この言葉から感じられれば幸いだ。平成30年作。
晩秋初冬に蒔かれた麦は、冬を越して晩春には青々とした穂が出る。一進一退を繰り返しながら、寒さに耐える季節から汗ばむ季節へと季節が移り変わってゆく時季である。「麦」「麦の穂」などは初夏の季語。
掲句は、青々とした麦が穂を伸ばす頃、頸(くび)を吹く風の感触の変化を詠んだもの。春先になっても、関東平野を吹く風はにべもなく冷たく尖って感じられるが、その風も漸く和らいできたと実感したのは、その時のことだった。折から、近くの麦畑の麦が真っ直ぐに穂を伸ばしていた。令和7年作。
「筒鳥(つつどり)」はカッコウ科の鳥類で、日本には夏鳥として渡来する。低い声でポポ、ポポと繰り返し鳴くが、声はくぐもって聞き取りにくく、深山の趣がある。郭公などと同様、托卵の習性がある。
掲句は近くの雑木林で聞きとめた「筒鳥」を詠んだもの。初めに声を聞いたときは、半信半疑だった。「筒鳥」といえば、それまで深山幽谷でなければ声を聞くことができないイメージを持っていたからだ。耳を澄ましていると、その微かな声が山の心音のように思われてきた。令和7年作。
「黄金虫(こがねむし)」は甲虫目コガネムシ科の昆虫。黄金虫とも表記する。金緑色、青銅色などの金属光沢がある。夏の夜、灯火などへ飛び込んでくる。指で小突くと死んだふりをしてポトリと落ちる。
掲句は昼間野原で捕まえた仮死状態の金亀子を宙に抛り投げたときの作品。掌の上で死んだようになっていた金亀子が、投げ上げた途端、地面に落ちずに飛び去ったことに新鮮な驚きがあった。マツヨイグサの花びらを食べていた金亀子だった。平成21年作。『春霙』所収。
夜鷹はヨタカ科の夏鳥。北海道から四国の山地や草原に棲む。夜行性で、夏の夜キョッキョッという鳴き声をたてる。
掲句は、八ヶ岳東麓のとある高原に滞在中の作品。近くに村営牧場があり、牧柵の外は茨などの灌木がところどころに生える野の起伏が広がっていた。夜鷹の声を聞きたくて、日が暮れてからもそこに佇んでいると、近くに猟犬と住んでいる老人が、夜はクマが出るから危険だよと教えてくれた。今のようにクマの出没が話題になる前のことである。平成8年作。『河岸段丘』所収。