頸に触るる風やはらぎて麦は穂に

晩秋初冬に蒔かれた麦は、冬を越して晩春には青々とした穂が出る。一進一退を繰り返しながら、寒さに耐える季節から汗ばむ季節へと季節が移り変わってゆく時季である。「麦」「麦の穂」などは初夏の季語。

掲句は、青々とした麦が穂を伸ばす頃、頸(くび)を吹く風の感触の変化を詠んだもの。春先になっても、関東平野を吹く風はにべもなく冷たく尖って感じられるが、その風も漸く和らいできたと実感したのは、その時のことだった。折から、近くの麦畑の麦が真っ直ぐに穂を伸ばしていた。令和7年作。

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